感謝の「連鎖」を生み出す介護術：利用者さん、家族、そして自分も満たす関係構築
介護の仕事は、利用者さんとそのご家族、そして介護職である自分自身の3者が、深く関わり合う仕事です。このトライアングルの中で、時に感情のすれ違いが起こり、ストレスを感じることもあります。
しかし、少しの工夫で、この関係を「感謝の連鎖」へと変えることができます。利用者さんからの「ありがとう」がご家族の安心につながり、ご家族からの感謝が介護職自身のやりがいへとつながる。そんな、みんなが満たされる関係を築くための介護術をご紹介します。
1. 利用者さんとの「共感」を深める
感謝の連鎖は、まず利用者さんとの信頼関係から始まります。
- 言葉にできない思いを汲み取る: 利用者さんは、病気や障がいによって、自分の気持ちを言葉にできないことがあります。表情や仕草、目の動きなど、言葉以外のサインから「今、何を伝えたいのか」を読み取ろうと努めましょう。
- 小さな喜びを共有する: 好きなテレビ番組の話をする、懐かしい歌を一緒に口ずさむなど、その人にとっての「小さな喜び」を一緒に見つけ、共有しましょう。こうした瞬間が、心と心の絆を強くします。
利用者さんの「ありがとう」は、こうした一つひとつの丁寧な関わりから生まれます。
2. ご家族との「協働」を築く
ご家族は、利用者さんを一番に想う存在です。彼らとの間に信頼関係を築くことは、スムーズなケアだけでなく、ご家族自身の安心にもつながります。
- 積極的に報告・相談する: 利用者さんの些細な変化や、喜ばれたことなどを積極的にご家族に報告しましょう。不安なことや困ったことがあれば、一人で抱え込まず、ご家族に相談することも大切です。
- ご家族の「声」に耳を傾ける: 「何か困っていることはありませんか？」「最近、〇〇さんの様子はいかがですか？」と、ご家族の気持ちに寄り添い、耳を傾けましょう。ご家族が抱える不安や悩みを理解することで、より深い信頼関係が生まれます。
ご家族からの感謝は、「安心して任せられる」という信頼から生まれるのです。
3. 「自分への感謝」を忘れない
感謝の連鎖を続けるためには、自分自身を満たすことが不可欠です。
- 「小さな成功」を認める: 利用者さんやご家族から感謝されるだけでなく、自分自身の頑張りを認めましょう。「今日は笑顔で対応できた」「〇〇さんの介助がスムーズにできた」など、小さなことでも自分を褒める習慣を持つことが大切です。
- 感謝を「受け取る」: 利用者さんやご家族から「ありがとう」と言われたら、謙遜せずに素直に受け取りましょう。その言葉は、あなたの心が満たされ、次の頑張りにつながる大切なエネルギーです。
介護の仕事は、時に孤独を感じるかもしれません。しかし、利用者さん、ご家族、そして自分自身、この3つの輪が感謝で繋がれば、それは大きな喜びとやりがいへと変わります。
今日から、あなたから始まる「感謝の連鎖」を意識して、日々のケアに取り組んでみませんか？